女性によくみられる頭痛 ~片頭痛について~
頭痛は女性によくみられる健康障害の一つですが、日常的によく経験することから、我慢したり市販の頭痛薬で対応している方も多いと思います。
ただ、非常に頑固で強い頭痛に悩まされたり、市販の頭痛薬が効かないなど、日常生活に支障をきたす(仕事や家事に支障をきたす、学校を休むなど)場合には、医療機関を受診した方がいいと思います。
頭痛の種類には器質性といって脳のなかの病気(脳腫瘍や血管障害)に起因するものとそれ以外の機能性といわれるものがあります。
器質性の頭痛は1000人に1人くらいと少ないのですが、いつもと違う痛みの場合など念のため脳の中を検索することもあります。それ以外は機能性の頭痛で、これには緊張性頭痛(押さえつけられるような痛み)と片頭痛(ズキズキする痛み)があります。
緊張性頭痛は首や肩こりを伴うことも多く、片頭痛に比して心理・ストレス要因の影響が大きいようです。
鎮痛剤とともに身体的ならびに精神的リラクゼーションが有効です。
一方、片頭痛は緊張性頭痛に比して心理・ストレス要因や生活習慣の影響は少ないのですが、日常生活の障害度が大きい場合があります。
片頭痛の特徴としては、
①頭の片側あるいは両側が心臓の鼓動にあわせてズッキンズッキンと激しく痛む。
②吐き気がしたり、痛みのピークには実際に吐いてしまう。
③動くと痛みがひどくなる(動くと痛いのでじっとしている)
④光や音が気になる(静かな暗い部屋を好む)。
⑤月に1~2回から、多いときには週に2回ぐらいの割合で強い頭痛が起こる。
の5つを挙げることができます。
また、片頭痛で悩んでいる女性の約半数は、片頭痛が月経と関連して起こるという自覚があります。
月経前や月経中に起こる片頭痛を「月経関連片頭痛」と呼びます。
厄介なことに月経に関連した片頭痛は、月経時以外に起こる頭痛よりもつらい場合が多く、市販の鎮痛剤では十分に効かないことが多いのです。
片頭痛は休日に起こることが多いのですが、女性の場合、片頭痛のために家族や周りの人に迷惑がかかるのではないかと、強い罪悪感を感じておられる方も少なくありません。
男性は、休日に頭痛で寝ていても、「働きすぎ」、「普段忙しいのだから」と周りの人に受け入れられますが、女性は仕事や家事に支障をきたすと大変大きな問題になってしまいます。
特に専業主婦の方は、家族に迷惑をかけたくないという配慮から、医療機関への受診も遅れる傾向があります。
片頭痛の治療ですが、市販の頭痛薬や鎮痛剤が効かないこともしばしば見られます。
片頭痛の起こる機序が脳の血管の収縮や弛緩によることがわかっており、市販の頭痛薬や鎮痛剤はその軽減作用が少ないので効きにくいのです。最近になり、片頭痛が起こるメカニズムそのものを抑えるというお薬が出てきました。
つらい片頭痛が少しでも楽になり、何とか日常生活がこなせる程度には健康を向上させることも可能です。
よく効くお薬を持っておくことで安心して外出もできます。
お薬によって「発作が起こってもお薬があるから大丈夫」と感じ、気持ちに余裕を持てるようになり、日常生活をより積極的に送ることができるようにサポートできればと思います。