女性ホルモン補充療法は安全なの?
最近、女性ホルモン補充療法の是非に関する報道が増えています。
アメリカでは中高年女性の約40%が女性ホルモン投与を受けていますが、日本では2%未満です。
女性ホルモンが種々の更年期障害、尿失禁や性交障害に有効であることはすでに実証されています。これらは比較的短期間の投与で効果がみられます。
-方、骨粗鬆症や動脈硬化、痴呆に対する長期的予防効果は確かにあるのですが、さらに大規模な臨床成績の蓄積が必要です。
また、長期的投与では癌や血栓の発生率なども問題になってきます。
先日、アメリカ国立衛生研究所がホルモン補充療法を行った場合、行わない人に比ベて、心臓発作が129倍、乳癌が126倍に増えることを報告し、波紋を呼びました。ただ、この研究では、大腸癌が0.63倍、骨折が0.66倍と減少することも報告されています。
少し私の意見を述べます。アメリカ人は日本人に比べて肥満や高脂血症が多く、また、乳癌の発生率も高く、この成績を日本人にそのまま当てはめることはできません。
ただ、肥満やヘビースモーカーに対しては、副作用の観点から女性ホルモン投与にこだわる必要はなく、高脂血症や骨粗鬆症を治療するのなら女性ホルモンと同等の有効性をもつ他剤があります。また、女性ホルモン投与中は年1回は子宮癌や乳癌の検診は必要です。
女性ホルモンにもいくつか種類があり、乳癌の発生率を増やさないものもあります。
種類や投与量、期間を工夫することで副作用は問題にならない程度にできます。
女性ホルモンは使い方さえ、間違わなければ、更年期障害、尿失禁や性交障害、さらには骨粗鬆症や動脈硬化に対しても優れた効果を発揮します。